本年5月10日から稼働している青森県立中央病院の新救命救急センターを視察いたしました。東日本大震災による影響もあり一カ月程度遅れ、4月に竣工したものです。県内全域カバーのドクターヘリ導入にあたっては、県立中央病院の救命救急体制の整備拡充が前提条件とされていました。同センターの稼働により弘前大学医学部附属病院の高度救命救急センター、八戸市立市民病院の救命救急センターとともに青森県内に3つの救命救急医療体制が整うこととなりました。
鉄筋コンクリート造3階建で2,819㎡の真新しい同センターは、高度治療室(ハイケアユニット)8床、診察室5、初療室2、観察用ベッド8床、CT室、レントゲン室を備え、センター内で迅速に検査・診断がおこなえるよう整備されています。またドクターヘリ運航に係る通信スタッフや関係機関との調整をおこなうためのドクターヘリ通信センター、無線設備等も配置され、万全の態勢でドクターヘリの運航にあたっています。このほか16列マルチスライスCT、一般X線撮影装置、ポータブルX線テレビ装置などの医療機器を整備しています。県立中央病院北側に隣接する場所には453㎡のヘリポートが設置されたほか、272㎡鉄骨造平屋建の格納庫等も整備されております。
青森県では平成21年3月25日から八戸市立市民病院を拠点にドクターヘリが暫定的に運航されてまいりました。その結果県南圏域からの出動要請が多く、主に八戸市立市民病院に搬送し治療する態勢で対応してきました。6月から県立中央病院を拠点病院として運航し始めたことにより、これまで出動要請がほとんど無かった津軽地域をはじめ県内全域から要請されるようになり、出動実績もこれまでの約2倍になっているとのことでした。出動要請に基づきフライトしたドクターヘリは患者の容態に鑑み、直近にある受入れ可能な医療機関に搬送する態勢を取るなど、これまでの暫定運航時とは異なる運航体制を取っております。また今月下旬には青森県、県立中央病院、八戸市立市民病院の三者による協議をおこない、10月以降の拠点病院と運航体制を決定する予定となっております。医師不足をはじめとする医療資源不足が課題となっている青森県において、どこに住んでいても等しく救命救急医療が受けられる態勢を構築することを目的に、公明党県議団が一貫してその必要性を訴え、導入実現を勝ち取ったドクターヘリです。県内全域をカバーするための運航体制を検証し、本年秋に導入する秋田県や来年度導入予定の岩手県とともに県境間での協力協定の締結を根拠とした複数機導入が一日も早く実現するよう、引き続きその実現に取り組んで参りたいと思います。