日本じゅうが東日本大震災に驚き、原子力発電所事故に不安を覚えた平成23年がまもなく終わり、新しい年を迎えようとしています。あの3月11日、その日私は県議会決算特別委員会に出席し、午後2時半過ぎから質問に立っていました。高齢社会に向き合い、地域で支え合う見守りネットワークの必要性を訴え、地域防災強化に言及している最中の突然の出来事でした。地震だと思った瞬間、経験したこともないかなりの揺れに見舞われ、あろうことか東北全域が停電に陥ったのです。暗闇の中で過ごした一昼夜、誰もが不安に苛まれました。辛うじて電気が確保されていた県庁で見たテレビに映し出された襲いかかる津波の脅威。それは忘れもしない16年前に見た阪神・淡路大震災の炎上する被災地を彷彿とさせるものでした。6千名超もの犠牲者を出した阪神・淡路大震災は、私に政治の重要性と政治家の資質を意識させるキッカケとなりました。あの時、時の運輸大臣の姿は兵庫県ではなく県知事選挙の渦中にあった青森県にあったのです。僅か15分足らずの応援演説に来た事を記者から問いかけられたその運輸大臣は、携帯電話で連絡を取り合っていると答えたと報じられました。我が目を疑う最高権力者のコメントでした。炎上する被災地に行くことなく、来なければならない県知事選挙であったとは今もって思えません。現場を知らずして対策を講じることはできません。東日本大震災でも大臣がいち早く現場に入り、現場で陣頭指揮にあたることがあれば、もっと被災者の皆さまに寄り添う対策を講じることができたのではないかと思えて仕方がないのです。尊い犠牲のうえに学んだはずの経験が教訓としてじゅうぶん活かされることはなかったと言わざるを得ません。まもなくむかえる新しい年が日本じゅうに希望をもたらし、結ばれた絆をさらに強くする輝かしい一年となる事を心より祈念するものです。